第13回:豆の仕入れ。憧れの名店との出逢いと、ネットショップでの「棲み分け」のロジック

創業の軌跡

どんなに素晴らしいコンセプトを掲げても、主役であるコーヒーそのものが美味しくなければ意味がありません。「Your First COFFEE」の命とも言えるコーヒー豆の仕入れ先について、今回はお話しします

私がパートナーとして選んだのは、新潟にある「Days Coffee Roaster」です

大前提として実は私自身、このお店の圧倒的なクオリティと営業スタイルに衝撃を受けた、ただの「一人の大ファン」です。ただ、この店の魅力を語るだけではYour First COFFEEから買おうと思ってもらえないと思うので、後半では私の店の役割や仕入れ元との棲み分けの工夫について語ります。

新潟で見つけた、東京の最先端を超える「衝撃」

私はどこか新しい土地に行くと、その街の美味しそうなカフェを探すことをルーティーンにしています。妻の里帰り出産に伴い、新潟に滞在していたときのこと。「新潟 自家焙煎コーヒー」と検索して見つけたのが、Days Coffee Roasterでした

フラッと店内に足を踏み入れた私は、言葉を失いました。

そこに並んでいたのは、東京で開かれる最先端のコーヒーイベントでしかお目にかかれないような、「メロンのようなフレーバー」を持つインフューズドコーヒーなど、驚くほど個性的で多様なコーヒーたちだったのです

さらに衝撃的だったのは、「その素晴らしいコーヒーを、すべて試飲させてくれる」という贅沢すぎる営業スタイルでした。普通、これだけ希少で高価なスペシャルティコーヒーを次々と試飲させるなんて、コスト面を考えてもまずやらない選択です

最先端の変わったコーヒーから、毎日ゴクゴク飲める手頃で美味しいデイリーな豆まで幅広く取り揃えられていて、通っても通っても飽きが来ない。私は一瞬でこの店の虜になり、「自分がずっと飲み続けたい店はここだ」と確信しました

しかし、それと同時にある一つの「壁」が見えてきたのです。

憧れの焙煎士さんへ、企画書の直談判

Days Coffee Roasterは素晴らしい名店ですが、客層を見るとやはり「もともとコーヒーが好きな人」が多い印象を受けました。一般的なスペシャルティコーヒーのECサイトやサブスクも同様で、どうしても“好きな人基準”の玄人向けになりがちです

「この圧倒的な感動体験を、まだコーヒーの魅力を知らない『初心者』や『苦手な人』に届ける架け橋になりたい」

そう決意した私は、1枚の企画書を握りしめてお店へ向かいました。相手は憧れのロースター(焙煎士)さんです。

カチッと作り込んだ企画書を差し出すと、ロースターさんは最初、「なぜ現役の医師をしている人が、わざわざコーヒーの事業を始めようとしているんですか?」と、純粋にとても驚かれていました。

しかし、私の背景や「苦手を感動に変えたい」という熱意をじっくり説明すると、その想いを受け止め、コーヒー豆を卸すことを快く承諾してくださったのです

あの憧れの店の豆を、自分のブランドで扱わせてもらえる。決まった瞬間は、飛び上がるほど嬉しかったのを今でも覚えています。

本家との「棲み分け」と、ネットショップの工夫

素晴らしい豆の仕入れ先は決まりました。しかし、Days Coffee Roasterの豆をそのまま右から左へ流して売るだけでは、私の店から買う意味(差別化)がありません

本家ロースターが「コーヒー好きのためのパラダイス」なら、私のお店は「コーヒー初心者が、最初の一杯で絶対に失敗しないためのナビゲーター」。そう明確に役割を棲み分けるために、3つの工夫を施しました

① 「試飲」の感動を、1,000円台で挑戦できる「段階設計」に翻訳する

ネットショップ最大の弱点は、味や香りが事前に試せないことです。リアル店舗の「試飲」という安心感をネットで再現するため、私は「1,000円程度で試せる3個入りのスターターセット」という仕組みを作りました。 さらに、苦味や酸味といった苦手原因に合わせて「飲む順番(Type C ➔ B ➔ A)」をカードで提案。Web上の動線だけで、失敗しない感動体験へとお客様をナビゲートする設計に翻訳したのです。

② 「あえて選択肢を減らす」という優しさ

Daysさんの魅力は豊富なラインナップですが、初心者がそれを前にすると「どれを選べばいいか分からない」と迷って離脱してしまいます。 そこで私は、Daysさんの豊富なラインナップの中から、初心者に差が伝わる3つの方向性(Type A: 深煎り Dark &Clean , Type B: 中煎り Balanced &Sweet, Type C: 浅煎り Bright &Fruity)を厳選。あえて選択肢を3つに絞り込むことで、「選べない迷い」を完全に無くしました。

③ 「味と香りの不在」を、美しい映像クリエイティブで殴る

実店舗のように香りを漂わせることができないなら、視覚で圧倒するしかない。そのために、私は60万円する本格的な一眼レフカメラを使用して撮影をしています。

豆の質感や、お湯を注いだときのディップバッグの美しさを徹底的に高画質な映像に落とし込み、「美味しそう」をクリエイティブの力で伝えています。

プロが支えてくれる「味のブレない安心感」

商品の3つの方向性(Type A, B, C)を決めるとき、ロースターさんは心強い言葉をかけてくれました

「うちの店では常にたくさんの種類を準備していて、ある方向性の豆がなくなっても、すぐに次の同じ方向性の豆が裏にスタンバイしているような設計にしています。だから、仕入れの時期が変わっても味の方向性は維持できますよ。一緒に考えていきましょう!」

コーヒー豆は農作物なので、季節によってシングルオリジンの種類は変わっていきます。しかし、プロの卓越した焙煎技術とこの豊富なラインナップがあるからこそ、「Your First COFFEE」の味のクオリティと方向性は常にブレずに維持できるのです。

最高の仕入れ先と出会い、初心者特化という独自の立ち位置が決まりました

骨組みに血が通った次なるステップは、この世界観をお客様に伝えるための「2. コンセプトとデザイン(パッケージ作り)」です。お楽しみに!

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