第4回:屋号「your first COFFEE」に込めた、二つの「はじまり」。

コーヒー

前回、コーヒーの世界には専門用語や道具といった高い壁があるというお話をしました。その壁を少しでも低くして、誰もが気軽に一歩を踏み出せる場所にしたい。

そんな想いから、私は自分の活動に 「Your First COFFEE(ユア・ファースト・コーヒー)」 という名前をつけました。

この名前には、私が届けたい「二つの側面」を込めています。

1. 「コーヒー初心者」の、最初の一歩

一つ目は、文字通り「これからコーヒーを始める人にとっての、最初の一杯」であることです。

道具も知識も、今はまだ何もない。そんな人が「これなら自分にもできそう」と思えるような、一番やさしい入り口でありたい。

でも、ただ「美味しいコーヒーを飲んで終わり」にはしたくありません。 ここで最初の一歩を踏み出した人が、いずれは「自分はこういう味が好きなんだ」という好みを見つけ、自分で豆を選び、自分の手で美味しく淹れて楽しめるようになる。

自分の暮らしの中に、自分の力で「楽しみ」を作り出せるようになる。そんな自立した楽しみ方へ向かうための、最初のスタート地点でありたいと思っています。

2. 「コーヒーが苦手な人」の、出会い直し

二つ目は、「コーヒーが嫌いだった人にとっての、新しい出会い」であることです。

「コーヒーは苦いから、自分には合わない」 そう思っている人は、きっと過去に「自分には合わない、苦すぎるコーヒー」に出会ってしまったのだと思います。その記憶が、コーヒーという世界への扉を閉ざしてしまっている。

だからこそ、私はその記憶を「美味しい!」という体験で上書きしたいのです。

一度つまずいてしまった人が、もう一度まっさらな気持ちでコーヒーと出会い直す。それは、嫌いだったものが「好き」に変わることで、自分の世界が少しだけ広がる「強さ」を手に入れるための、新しいスタートラインです。

最初の目撃者は、妻でした

この確信をくれたのは、私の妻です。 以前お話しした通り、彼女はもともと「コーヒーは苦くて無理」と言っていました。

そんな彼女に、私が選び抜いた浅煎りの一杯を差し出した時。 「……あれ、苦くない。これなら飲める、美味しい!」 驚いた顔で飲み干してくれたあの瞬間に、彼女の中の「コーヒー = 苦い」という定義が崩れ、新しい世界が始まったのを見ました。

その笑顔を見て、確信しました。 入り口さえ正しく整えれば、人はこれまでの苦手意識を飛び越えて、暮らしの中に新しい喜びを自分の手で手繰り寄せることができるのだと。

案内人としての決意

私は、コーヒーの専門家として高みを目指すこと以上に、入り口で迷っている人に「こっちは怖くないよ、美味しいよ」と手を差し伸べる存在でありたい。

自分で選び、自分で淹れ、自分の「好き」を自分で決める。 そのプロセスすべてが、生きていく上での小さな「強さ」になると信じています。

「Your First COFFEE」 それは、あなたとコーヒーの物語が、ここからもう一度始まるための名前です。

次回は、そんな私がたどり着いた「なぜ『苦くないコーヒー(浅煎り)』が、最高の入り口になるのか?」という、味の核心についてお話しします。

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