WEBサイトを建てるだけでは、広い砂漠の中にポツンとお店を建てたようなものです。実店舗を持たない「Your First COFFEE」を知ってもらうため、私はSNSでショート動画の投稿をスタートしました。
投稿先は、TikTok、YouTube、Instagramの3つのプラットフォームです。
実際に動画を投稿していく中で見えてきたのは、アルゴリズムを攻略する面白さ、プラットフォームごとの民度・空気感の違い、そして「動画がバズることと、商品が売れることは全く別物である」というシビアな現実でした。
5回のテストを突破できるか?「ショート動画アルゴリズム」の緊張感
YouTube ShortsやTikTokに動画を投下すると、アルゴリズムによる密かな「審査」が始まります。
投稿直後、まずは100人〜200人ほどの小さなインプレッション(テスト露出)に流されます。そして、そこでの視聴維持率や高評価をもとに、「100人〜200人クラスのテスト」が約5回ほど繰り返し実行されるのです。
この「初期テストの壁」を評価良くクリアすると、アルゴリズムはさらに厳しい次の判定へと動画を押し上げます。そこで高いハードルを乗り越えた瞬間、+1,000人へと一気に露出の桁が跳ね上がる「爆発的な拡散期」に突入するのです。
Your First COFEEの動画はYoutubeで最大3.2万回再生、TikTokで2.9万回・2万回再生といったバズりを生み出すことに成功しました。動画が爆発的な拡散期に入り、スマホの通知が鳴り止まなくなった瞬間の快感は、一種の中毒性すらあります。
「自分の作った動画が今、第何段階のテストに挑んでいるのか?」
投稿した直後は、画面の向こうでアルゴリズムと戦っているような独特の緊張感があり、数字が跳ねた瞬間はまるで難解なゲームのステージをクリアしたかのような興奮がありました。
最初の2秒で指を止める。「フック」とテロップの型作り
この厳しいテスト(アルゴリズム)を勝ち抜くために最も重要なのが、動画冒頭の「フック(掴み)」です。
タイムラインを爆速でスワイプするユーザーの指を止め、最後まで見てもらうために、どんな課題や共感を提示するか。私が実際にフックとして大成功したのが、「フレンチプレス」を題材にしたショート動画でした。
動画の前半ではフレンチプレスならではの濃厚なコーヒーが淹れられるという魅力を伝えつつ、「でも、使用後の掃除がめちゃくちゃ大変…」という、使ったことがある人なら誰もが頷く圧倒的なデメリット(悩み)を投げかけます。
そして動画の後半で、「忙しい朝でも、手軽に片付けゼロで美味しいコーヒーが飲める選択肢」として、当店のディップコーヒーを提案する構成にしました。
- 興味を惹く(フレンチプレスの魅力)
- 悩みに共感する(後片付けが面倒)
- 解決策を提示する(手軽なディップバッグ)
この「悩み解決型」のフックと構成のパターンを掴んでからは、同じ型の動画を何本か横展開して作成し、狙い通りに初期テストを突破して再生数を伸ばせるようになっていきました。
プラットフォームごとの「層の違い」と、バズっても売れない現実
しかし、投稿を続けていく中で、YouTubeとTikTokでの「視聴者層の空気感(民度)」の違いに悩まされることになります。
特にTikTokは年齢層が若いこともあり、時として予想外のアクションが返ってきます。 例えば、最新の抽出器具である「Paragon(パラゴン:コーヒーを急速冷却する金属球)」を紹介する動画を投稿した際、コメント欄には下ネタの書き込みが多数寄せられ、発信者として非常に不快で残念な気持ちになりました。
そして何より最大の壁は、「数万再生が出ても、実際の売上にはほとんど繋がらない」ということです。
「これだけバズっているなら売れるはずだ」とTikTokショップも開設してみましたが、そこからの購入は驚くほど生まれませんでした。
流し見で暇つぶしをしているユーザーに、どれだけバズる動画を届けても、そこから「1,200円のお試しセットを買う」というアクションを起こしてもらうための心理的距離は、想像以上に遠かったのです。
それでもSNSを続ける理由。メイン主軸である「Instagram」への伏線
では、ショート動画での発信はすべて無駄だったのでしょうか? 答えは明確に「NO」です。
なぜなら、YouTubeやTikTokとは全く異なる動きを見せる、メインプラットフォーム「Instagram」の存在があったからです。
正直なところ、Instagramのアルゴリズムは「とりあえず投稿すれば100人にテスト拡散してくれる」といった初心者に優しいものではありません。フックが機能していない動画は数回しか再生されないのが日常茶飯事です。
だからこそ、まずはYouTubeやTikTokというサブプラットフォームで動画を投稿し、「その動画が持つポテンシャル(フックの強さや視聴維持率)を測るテストの場」として活用する戦略が効いてきます。
そして、そこで磨かれた良質な動画を、本陣であるInstagramへと展開していくのです。
次回は、実践編の本当のラストとして、「なぜInstagramが本物の集客(売上)に化けるのか?」についての全貌をお話しします!


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