第9回では、第一回から綴ってきた「国試の勉強」の正体が医師国家試験であったこと、そして私が外科医として勤務していることを明かしました。今回は、実務的な開業準備の中でも特に「自治体による差」を痛感した、保健所への営業届出のリアルをお届けします。
「営業許可」と「営業届出」の境界線
コーヒーを扱う際、まずぶつかるのが「許可」なのか「届出」なのかという問題です。
- 営業許可(厳しい): 喫茶店やレストランのように、その場でコーヒーを淹れて「飲み物」として提供する場合に必要です。施設の構造に細かい基準があり、保健所職員による実地検査も行われます。
- 営業届出(比較的スムーズ): 豆やディップバッグを販売する場合に適用されます。
保健所の指導では、「営業届出だけの場合は、飲み物を販売してはいけない」と明確に区別されています。私は「Your First COFFEE」において、豆とディップスタイルの販売を主軸としているため、書類の提出だけで済む営業届出を選択しました。
オンライン申請よりも「対面」を選んだ理由
現在はオンラインでの申請も可能ですが、私はあえて保健所の窓口へ足を運びました。その最大の理由は、「営業形態」の選択に迷ったからです。
申請書類には営業形態を記載する欄がありましたが、何を書いていいかわかりませんでした。私は最終的に「16:コーヒー製造・加工業」を選びましたが、自分の事業内容が本当にこの枠組みで正しいのか、対面で確認したかったのです。
また、実際に提出してみて分かったのですが、自治体ごとに独自の「マイナールール」が存在するため、ネットで調べるよりも現地に行って直接聞いた方が圧倒的に早いという事情もありました。
3都市を巡って分かったマイナールールの洗礼
私は開業時期に引っ越しが重なったこともあり、これまで3つの都市で営業届出を経験してきました。手続きの内容は全国共通だと思っていましたが、実際には自治体によって対応が異なりました。
特に驚いたのが、ある都市で求められた「作業場の間取り図」の提出です。保健所で描いた図面に対し、「商品の保管場所は作業台の隣にしてください」といった、具体的な配置に関する指導がありました。
家の中の限られたスペースを、いかに「事業所」としてレイアウトするか。図面を引きながら保健所の担当者とやり取りした時間は、実店舗を持たないオンライン販売であっても、「店を作る」という実感を持たせてくれる経験となりました。
今回のポイント
- 飲料販売の有無: 飲み物を出したいなら「許可」、豆やバッグの販売のみなら「届出」。
- 対面相談のメリット: 営業形態の分類に迷ったら、直接聞くのが確実。
- 自治体ごとに細かな違いがある: 図面の提出を求められる自治体がありました。
次回予告:事業計画書の作成 行政への届け出という「守り」を固めたら、次は経営の「攻め」へ。中小機構の専門家とともに、理想を具体的な数字へと落とし込んでいった「事業計画書」作成の舞台裏をお届けします。



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